2010年1月アーカイブ

「Availability」

 

「ここに、私がおります。私を遣わしてください。」イザヤ6:8

先日、JCFNのオフィスにワシントン州に住んでいるアメリカ人女性から電話が入りました。「姉妹の義母は日本人で、癌のステージ4で日本人のチャプレンを探している。」ということでした。話を聞いてみると、電話をくれた方はクリスチャンの方で、姉妹さんのお義母さんは、おそらく、クリスチャンではないということ。どんなヘルプができるのかは分からないけど、とりあえず、日本人クリスチャンの方に訪ねてもらいたいと思って、インターネットで調べていたところ、私たちの団体を発見したということでした。姉妹の方に電話をしてみたところ、お義母さんは70歳で、つい数ヶ月前にご主人を癌で亡くし、悲しみから抜け出ていない状況で、今度は自分の病状も悪化し、今は、ケアの受けられる施設に入っているということでした。その施設は私のオフィスのそばで、私には何ができるのかわかりませんでしたが、訪ねてみることにしました。

施設の前で息子さんご夫婦と待ち合わせをし病室を訪ねました。病室に入って、息子さんが私のことを「教会の友達」と紹介してくれましたが、Uさんの最初の反応は首を横に振って、「バイバイ」とかすれた声で言うのみでした。何をしていいのかまったく分かりませんでしたが、とりあえず、あいさつと、何かできることがないか、など、日本語で世間話程度に話しかけてみました。反応はよくわからず、うまく会話を交わすことはできませんでした。しかし、一言二言の日本語の話しかけが刺激になったのか、これまでうまくできていなかった医師との意思疎通ができた様子でした。息子さん夫婦の希望は、続けて、家族のいないときでもいいから、Uさんを訪問してほしいということ。日本語で話しかけて、キリスト教について話したり、聖書を読んで聞かせたり、どんな日本食が好きなのかを聞いたり、一緒にいて手を握ったりということでした。こんな何気ないことも「日本語で」ということが息子さん夫婦にはすることのできないことなのだと思ったら、胸の詰まる思いがしました。施設を去る前に、もう一度ひとりでUさんのベッド脇に行って、彼女のために祈っていいか聞いてみることにしました。「Uさん。ちひろです。Uさんのこと、神様に今祈ってもいいですか?」そしたら、先ほどと打って変わって、今度は、首を大きく立てにふるUさん。「あぁ、神様だ。」「Uさんは私が誰だかわからなくても、神様と直接出会うんだ。」と思わされました。そして、一緒に祈りました。私が声に出して祈っている間、Uさんは首を立てに振り続けていました。まるで、「アーメン、アーメン」と祈りにあいづちをうっているようでした。最後に、「また、来てもいいですか?」と聞いたら、またうなづいてくださいました。

最初の訪問から2日後、施設を訪ねに行きました。しかし、Uさんに再び会うことはできませんでした。訪ねた日の早朝に亡くなったそうです。その後、息子さん宅にお邪魔をし、日本語翻訳のお手伝いさせてもらいました。そして、前回の病室での出来事を伝えると、目に涙を浮かべていました。

今回の経験を通して、いつでも神様の声かけに対して備えておくこと(Available)が必要であると思わされました。一見、自分には何もできないと思えることであったとしても、また、自分には関係のないことだと思ってしまう状況であったとしても、「ここに、私がおります。私を遣わしてください。」と神様への呼びかけに応える時、神様は喜んでくださるということ、またその喜びを一緒に味あわせていただけるということを学びました。ぜひ、いつも、神様の前に「Available」でいることができるようにお祈りください。

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